[レポート]官公庁セッション基調講演 #AWSSummit
ご機嫌いかがでしょうか、豊崎です。
現在開催されている、AWS Summit 2018 Tokyoの 官公庁セッション基調講演を拝聴いたしましたので、レポートしたいと思います。
概要
https://www.awssummit.tokyo/tokyo_session/session/
官民データ活用推進基本法がもたらす社会の変革 ー『データ』がヒトを豊かにする社会の実現に向けてー
官 民データ活用推進基本法が施行され、政府による官民データ活用推進基本計画がこの1月に閣議決定されました。国・自治体・民間企業が保有するデータの活用 を進め、データが産みだす付加価値をもとに社会の変革や国際競争力の向上をもらすことを展望しています。そうした背景のもと、 AI , IoT , クラウド等はデータの持つ潜在価値を活かすために不可欠な先端技術と認識し、政府としてもその普及に対して大きな関心と期待を寄せています。
スピーカー
モデレータ)宇佐見 潮氏:アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長
平井 卓也氏:衆議院議員 自由民主党 IT戦略特命委員長
Peter Moore氏:Amazon Web Services, Inc. Asia Pacific and Japan GM, WWPS
レポート
まずは平井氏からのスピーチが行われました。
「データ」が人を豊かにする社会の実現に向けて
- デジタルでできていないことが現在は多い
- 電子決済、公文書の管理をデジタル化については部分的に行なっても効果が薄い
- 一気通貫で行わないと効果が薄い
いくつか問題がある
- 本人性確認の問題
- ID管理が進んでいない=マイナンバーカード普及の遅れ
- ふりがな問題の現状
- 日本特有の問題
- 指名の読み方・ローマ字表記を公証するものがなく本人の自己申告による
- 一人で複数の読み・ローマ字表記を使い分けることが可能
- 金融機関などでITを活用しても「名寄せ」に限界がある。コストが高い
- デジタル社会、生産性革命を推進していく上で解決すべき課題
- 日本においては、漢字の読み方と読み方とは関係なくて良い。という現状がある
- 漢字に対する当て字などの命名が可能
- データで管理を行う上で複雑な仕組み
- 紐付けが非常に難しい
- マイナンバーの12桁の番号を所有するという制度の背景の一因として存在する
2014からクラウドの利用を提言
- 本当の意味でのクラウドを利用するということを根付かせていかなければならない
- 一部、クラウドに移行することが目的となってしまっている
- 日本のスピードとスケールについて懸念を抱いている
海外での国民IDシステムの現状について
- インドなどでは国民IDシステムを始めている
- 人口が日本の10倍であるが、すでに9割がIDを所有している
- 普及率が非常に高い
- 中国ではアリババとの紐付きがあり利便性が高い
- 一方、日本ではマイナンバーの普及が進まない
テクノロジーへの置き換えについて
- 今後、日本は超高齢社会を迎えることになる
- 日本が高齢社会をどのような対応を行い、乗り切るのか他国から非常に注目されている
- デジタルがストレスになることは高齢者に望ましくない
- 全てをデジタルに置き換えることは不可能だし、ベストプラクティスだとは考えていない。
- 基本的にはデジタルがメインとして、一部は紙媒体や現行の手段を残すことが必要(9:1のイメージ)
- デジタルガバメントはハイタッチ(人間的なふれあい、優しや、思いやり、おもてなし)でなければならない
- 最終形としてはデジタルを感じさせないようなレベルが必要
- デジタルのリテラシーが高くない人に対するサポートを行うデジタル民成員などを検討する必要がある
ハイタッチなSociety5.0
- デジタルが目的ではない
- 以下が達成されることが目的
- 国民の利便性
- 内部効率性
- データ資源大国
- 国民の安心・安全
デジタルファースト法案について
- 行政のデジタル化だけについて言及しているものではない
- 社会全体のデジタル化を目指している
- 国の40000程ある手続きをデジタル化する
- そのためには国民のほとんどがマイナンバーカードを所有をしている必要がある
- マイナンバーカードは概念でいえば、運転免許やパスポートより上位の証明書
- 対面原則であることを、インターネット上に持っていくことに必要である
- マイナンバーカード
- 健康保険証の確認や、TポイントやPontaポイントなどとも統合される予定
- 今後カジノの身分確認についてもマイナンバーカードが行われる予定
- 全てがデータに集約されていくと、データセンターの重要性が高まる
- また、エッジデバイスであるマイナンバーカードにIoTも重要
続いて、Peter Moore氏からのスピーチが行われました
クラウドは公共機関とどのような関わりがあるのでしょうか?
- 破壊的なイノベーションの道を切り開く
- 政府に対する国民の要求とは?
- 破壊的な革新
- 俊敏性
- 実行能力
- コスト削減
- セキュリティとコンプライアンス
- 政府に対する国民の要求とは?
- 世界をより良いものへ
- 世界をより良いものにするために私たちには何が必要か?
- 安全な子育て環境
- 自然災害への対応力
- テロリズム対策
- 世界をより良いものにするために私たちには何が必要か?
なぜAWSが選択されるのか?
- セキュリティとコンプライアンス
- ISOやSOCをはじめ非常に多くの認証と認定を取得している
コスト削減
- ノートルダム大学はAWSを利用し、100万ドル削減
- クラウドガースとの戦略
- 年間40%のIT運用費用を削減
スキルとキャリア育成
- AWS educateプログラムに1500以上の教育機関が参加
- プログラム開始後、何十万人もの学生が参加
- 近畿大学
- 広島大学
- 九州大学
- プログラム開始後、何十万人もの学生が参加
- AWSを熟知している学生が増えている
新しいプログラムの発表
New!! AWS EdStartという新しいEdTech 分野のスタートアップ企業向けのプログラムが発表されました
AWS EdStart は、教育技術 (EdTech) に関する AWS のスタートアップアクセラレーターで、起業家が AWS クラウド上で次世代のオンライン学習、分析、キャンパス管理ソリューションを構築できるように設計されています。このプログラムは、EdTech 分野のスタートアップ企業が、特別に設けられたメリットを利用してよりすばやく行動を起こせるように設計されています。
市民サービス向上
- シンガポールでの利用
- 2017年にシンガポール全土の地図空間
- プラットフォームサービスを利用開始
- 主な機能
- 学校の検索
- 土地保有に関わる検索
- 住民に関する検索
- 近くのものを探す
- ルート検索
- NEXCOシステムズ
- 高速道路事業の円滑かつ効率的な遂行をクラウドを用いて実現
- 交通巡回システム
- グループ企業向けSaaS
- IoTによる車両道路上ふのさらなる活用
公共機関の使命
- ペタジャカルタプロジェクトではインドネシアのジャカルタにおける地理情報の活用
- 地図情報と洪水情報を統合し提供、2800万人の市民がTwitter経由で情報を共有
- Amazonによる人工知能技術(AWS Rekognition
- 水位感知装置の活用
- 構図雨の影響を分析
- ビックデータの利用により
- 心臓血管研究に革命をもたらす
- 精密医療の実現を加速する
- 中央大学
- 国内外の津波の被災調査やシミュレーションの構築、まちづくりの研究に必要なHPCの分野においてクラウドを採用
- スーパーコンピュータを用いてしかできなかったシミュレーションを気軽に実現
- 研究室の学生が自分の環境を自由に構築
- 高いセキュリティ
最後に宇佐見氏からのスピーチがありました
日本におけるパブリックセクターの活用
- 日本の公共分野においても確実に第4次産業革命が到来
- 第4次産業革命=IoTによる情報連携
- AWSの使命
- データに付加価値をつけてインテリジェンスを乗せて提供すること
- S3などに代表される情報基盤の提供
- AI、MLによるハイタッチなヒューマンインターフェースの提供
- パブリックセクターの本格的なクラウドの利用
- 非常に多くの利用顧客
- 政府機関向け「アマゾンウェブサービス」
- 対応セキュリティリファレンス
- アマゾンのクラウド安全利用
- 2011からGovCloudリージョンの提供開始
- 2013から米国の情報機関向けてのデータセンター
- デジタルニッポン2018の政策に従い進められるデジタル化の検討に対して
- クラウドジャーニーマネジメント
- クラウドにおけるITガバナンス
- DevOps
- 国内においても先進的な取り組みが各地域で始まっている
- 今後は官民データ活用推進基本法に従い支援
- 自治体期間業務とAWSクラウドとの連携
- 閉域接続のポイント
- 専用線、IP-VPNでクラウドと接続
- インターネットへのルーティングを遮断
- 今後ご要望に更に答えていきたい
- 医療・ヘルスケアの領域でも欧米での先進利用を念頭に検討開始
- 想定されるユースケース
- ゲノム医療
- 画像診断
- 診断支援
- データヘルス改革を実現する様々な情報基盤
- 学術領域のクラウド促進プログラムを国立情報学研究所様と連携
- 想定されるユースケース
感想
国全体の取り組みとしてクラウドに関してのリテラシーの向上と共に、一部利用が困難な方に向けたフォローの体制も重要である点、高度なシステムが、ユーザに使いやすいものとなる国全体の取り組みが知れる機会となりました。またスタートアップ企業向けのプログラムAWS EdStartの発表もあり、今後ますます利用拡大が予想されます!